やっと週末だ。フランスの永遠の輪廻、というか地獄のローテーションから抜け出したい、と思いやまやで定番のチリカベ を買って帰る。
飲みたいワインを飲ませてくれ!
週末の1日くらいは、許してもらおう。とでれでれ思っていたら、キッチンで緊急事態が発生。
トマトソースを強火で煮込みすぎたらしく、とにかく仏ワインをエマージェンシー的に投入!し何とか味をととのえた。フー。
レ・トロワ・コロンヌよ、救済してくれてありがとう。
残りはありがたく天国への旅へ、と昇天させてあげよう、とお別れの一杯を口にしたところ、あぜんとした。 味が変わってるよ。
もちろん、今日のメイン『ポーク焼きトマトソースがけ』改『ポーク炒め赤ワイン煮』に同じワインをつかったため、味の相性が抜群なのはいうまでもないこと。
それ以上に、仏ワインのわたしの嫌なところ「ツンツン」したトンガった風味がとれて、見事にまろやか味に変わっている。
味が飛んだ、といってしまえばそれまでなのだが‥ そこは承知の上で!
ワンコイン赤ワインでありがちな、「ダメと思ったら1−2日置いてから飲め」という法則はここでも当てハマったのだった。で終わればハッピーだったが、今日はここでおしまいではない。
最後に意外な刺客による、ドンデン返しが待っていた。
灰かぶりの少女の夢が、デザートで買ったポム(アップルパイ)によってあっけなく剥がされてしまう。
何気に甘い酸味の効いたポムを放り込んだあとに、レ・トロワ・コロンヌを一口飲んだとたん、
やっぱ、ダメだわ。と。
最初から最後まで、1本の赤ワインで通すのはキツい。でも、甘味の要素がないオカズ(濃いめソース)と食べた場合ならば、仏ワインもなんとかなった。主張しない味/中庸主義のワインの良さだ。
ここに強い甘みを放り込んだら最後、魔法が掛かった味が嘘のように凡庸に変わる。
「一夜」どころか「一瞬」の王女だったシンデレラワイン、コロンヌよ。
また、灰だらけの暖炉の前で、やすらかな眠りにつくがいい。